最高裁

1.どうでもいいコト

一昨日あたりに最高裁のウェブサイトが一新されているのには気付いていたが,それに触れている方が予想外のところに…


私が読んでいる数少ない「ブログ」の1つ高木浩光@自宅の日記によると,(リニューアル前がどうだったかまったく知らないが,少なくても今は)リンクをしたら連絡しなければならないらしい,それも電話で
しかも連絡するとリンク元URLを読み上げさせられることを知ってか知らずか*1嫌がらせのようなURLからリンクした高木氏はご丁寧に電話したらしい。*2
すわ,高木氏が最高裁ウェブサイトのセキュリティーホールを早速発見か?と思ったら,別にそうではなくて

最高裁判所のプライバシーポリシーには「クッキーは利用していません」と書かれているが、実際にはcookieが利用されている。

とのこと。JavaScriptおよびCookieは基本的にオフっているので「言われてみれば」という感じだが,確かに文字サイズ変更機能の為に,JavaScriptを用い,その記憶(記録)の為にCookieを使ってる。
まあ,プライバシーポリシーに偽りがあることには変わりはない。
Cookie=ウィルス的な妄言が漂っている昨今なので,最高裁としても「配慮」したのかもしれないが,色んな意味で間違っている気がする…

2.どうでもよくはないコト

どうせ,ウェブサイトの装飾要素,例えば画像なんかはあらかたオフっているので,デザインのリニューアル自体は個人的にはどうでもいいことなのだが,ちょっとどうでもよくないのはリニューアルによる内容の変更。

最新判決ページ

子細には見ていないが*3,目立った変更点は最新判決。

一応,裁判例情報から最高裁判所判例集へ移動すると,最近の最高裁判例一覧表示へのリンクが発見できる。
一方で,旧来の最新判決ページも現時点では維持され,しかも更新までされている。
新しい方の最新判決は今月3日付け「平成14年(行ヒ)第96号」で同判決は旧ページにも掲載されているが,旧ページの方ではさらに3月23日付けの判決まで掲載されている。なお,リニューアルは最高裁のサイトによると22日。つまりリニューアル後も旧・最新判決ページが更新されている一方で,新ページには同じ更新が行われていないということになる。

判決文のPDF化

もう1点。同じく,公開している判決について。
リニューアルと共に,判決本文がPDFになっている。(最新判例の更新が滞っているのはこれが原因かもしれない)
PDFになったことで,まず一般論としてユーザビリティの問題がある。(個人的にはブラウザでPDFを閲覧できるし,もともとマークアップらしいマークアップもなかったので*4,それほど不便には感じないが…)

(半ば必然的に)URLの変更*5

一応,旧来の最高裁ウェブ判例集(HTML)も,私のブックマークからリンクしているもの*6については生き残っている。
相変わらずURL生成規則は不明で,完全なランダム文字列と思われるが*7,旧来の判決表示URLと新規のURL(PDF)には一定の対応が見られる。

  • 最高裁判例は,
    • 'http://courtdomino2.courts.go.jp/schanrei.nsf/VM2/'を'http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/'に
    • 末尾の'/?OpenDocument'を'.pdf'に
  • 知財判例は,'http://courtdomino2.courts.go.jp/chizai.nsf/0/'と末尾の'/?OpenDocument'を同様に
  • 下級審裁判例集(含・高裁判例)は,'http://courtdomino2.courts.go.jp/kshanrei.nsf/webview/'と末尾を同様に
  • 行例集および労働事件裁判例集は,'http://courtdomino2.courts.go.jp/roudou.nsf/Listview01/'と末尾を同様に
  • 正規表現なら(?<=http://)courtdomino2\.courts\.go\.jp/(?:schanrei\.nsf/VM2|chizai\.nsf/0|kshanrei\.nsf/webview|roudou\.nsf/Listview01)/(\w+)(?:/?\?OpenDocument(要・iオプション)をwww.courts.go.jp/hanrei/pdf/\1.pdfに((言語系に併せた微調整 —例えばデミリタに/を使うなら/エスケープ,など— が必要))

それぞれ変更/変換すればよい…っぽい。
いずれも幾つかサンプルをピックアップして比較したのみで詳細な検証はしていない。また,旧サイトでは幾つかの裁判例判例は,複数のURLを持っていて,上に挙げたURLはいずれも検索から行き着く大元(≒オリジナル)と思われるURLのみチェックした。
しかしこうやって改めて旧URLを比較してみると,旧システムの不整備が一目瞭然…

別紙

これまで一部の「別紙」をtif画像で公開していたのは,プライバシー/著作権への配慮(検索避け)と推察していたので*8,差異があるか確かめようとしたが…

  1. 1つめ。そもそも「別紙」なし… 平成10年(ネ)2942のHTML版(旧版)新版(PDF版)
  2. 2つめ。「別紙」の名残が… 平成10年(ワ)15833のHTML版(旧版)にはたしかに「別紙」があるが,新版(PDF版)にはそれを単にスキャンしたと思われる跡があるのみ…

PDF化自体には(さほど)文句はないが*9,別紙がなくなったのは大きな減点。

検索システムの微変更

最後に,これまでは同じ下級審裁判例を探すにも,目的の裁判例が,行政・知財・高裁・下級審(一般)の何処に在るか「あたり」をつけて検索し,必要なら4回検索する必要があったが,各データベースでの横断検索である統合検索が利用できるようになっている。
これは今回のリニューアルで,唯一,積極的に評価できる点。


こんなところかな?
最後に,まだ使えるので,過去の判例集(HTML版を取得可能)のURL一覧


最高裁にリンクした旨連絡する手間くらいはまだしも,万が一にもリンク元確認とかされて,さらに万々が一,旧来のページを一掃されてしまうと困るので,やっぱり(電話)連絡はしない!

*1:トップページにタイトルはありませんか?と聞かれ「ない」と答えている不親切さからも,どうも確信犯(故意犯)ではないかと思われる。たしかにトップページにはh1要素でマークアップされた高木浩光@自宅との記述があるだけでtitle要素はないし,当該記事の直接の親ページと言える日記のトップページにはtitle要素(およびh1要素)で高木浩光@自宅の日記と記されているが,(サイトの)トップページではない,が…

*2:私も(たくさん)リンクしたが連絡はしない…

*3:そもそもリニューアル前の最高裁のサイトを,隅から隅まで使い倒していたわけではないし…

*4:アンカー(name属性)やidすらなかったので特定個所へのリンクもできず,論理マークアップや装飾的なマークアップも殆ど施されていなかったのでユーザCSSによる表示改変もできなかった。要はプレーンテキストをbodyで括っただけ…

*5:クールなURIは,文書フォーマットの変更があっても変わらない

*6:そういえば,最近別の方法で判例をメモり始めたので,めっきり更新していない。未だにブックマークを活用していたとすれば,形式の変更というよりも,URLの変更によって,同一の判例を重複してブックマークしてしまうという弊害が出ていた… クールなURIはかわらないは,残念ながらイマイチ浸透していない(はてなダイアリーでこれを言うと自分に跳ね返ってくるが…)

*7:その意味では,高木氏のリンク元URLを読み上げられたときも,最高裁の担当者は違和感を感じなかったのかもしれない…

*8:tifと別紙で検索してみるとヒットする判決は圧倒的に著作権関係が多い。但し,これはその性質上,画像を添付する以外にないものも多い。どの判決か思い出せないが,文字のみの「別紙」についてもtif化されたものがあり(なお普通に文字で表記される「別紙」もある),それを見たときには「プライバシーへの配慮?」と感じた記憶がある

*9:尤も,判例Web DevilURLcollectorでもって収集して,加工,データベース化してる身とすれば,テキスト抽出の容易なHTML版の方がありがたいことは確かだが