国民投票法等に関する与党協議会実務者会議報告〔公明党, 2004-12-03〕
国民投票法等に関する与党協議会実務者会議は、平成16年4月21日の第1回会合以来、11月30日までの間、合計9回の会合を重ねてきた。その間、6月2日には、国民投票法等に関する与野党協議会に対して、審議状況について中間報告を行った。
中間報告を行った後も、11月下旬に至るまでの間、精力的に、「国会法の一部を改正する法律案」及び「日本国憲法改正国民投票法案」に関する審議及び検討を行ってきたところである。
その結果、11月30日に下記のように合意に達したので、国民投票法等に関する与党協議会に報告を行うものである。記
- 「日本国憲法改正国民投票法案」については、自由民主党が提案した法(超党派の憲法調査推進議員連盟作成のいわゆる「議連案」と同じ内容のもの)に【別紙】のとおり修正を加え、これを基に法案化の作業を進める。
- 1の「日本国憲法改正国民投票法案」を審査するため、国会法を改正し、衆参両院の憲法調査会に日本国憲法第96条第1項に定める国民投票に関する法律案の審査及び起草権限を付与するものとする。なお、憲法調査会の名称については、両院の議員運営委員会に協議を委ねる。
- 上記1及び2の両法案はいずれも次の常会に提出するものとし、2の「国会法改正案」については4月中に成立を図り、憲法調査会において最終報告書を議長に提出した後、引き続き、1の「日本国憲法改正国民投票法案」の審査に入り、その早期の成立を図る。
- なお、憲法改正案を発議するための原案の審査を行う権限については、これを上記2の機関にさらに付与することを念頭に、その環境及び条件等を整えつつ、引き続き、検討を行う。
以上
日本国憲法改正国民投票法案骨子(案)
第一 総則
- 一 趣旨
- 日本国憲法の改正についての国民の承認の投票(以下「国民投票」という。)については、この法律の定めるところによるものとすること。
- 二 国民投票の期日等
- 三 国民投票の投票権
- 衆議院議員及び参議院議員の選挙権を有する者*5は、国民投票の投票権を有するものとすること。
- 四 国民投票に関する事務の管理
- 国民投票に関する事務は、中央選挙管理会が管理するものとすること。
- 五 投票人の名簿
- 国民投票には、公職選挙法に規定する選挙人名簿及び在外選挙人名簿を用いるものとすること。*6
- 六 国民投票に関する啓発、周知等
- 総務大臣、中央選挙管理会並びに都道府県及び市町村の選挙管理委員会は、国民投票に際し、国民投票の方法その他国民投票に関し必要と認める事項を投票人に周知させなければならないものとすること。
第二 投票及び開票
- 一 一人一票
- 国民投票は、一人一票に限るものとすること。
- 二 投票管理者及び投票立会人
- 投票管理者及び投票立会人に関し、必要な規定を置くものとすること。
- 三 投票の方式等
- 四 開票管理者及び開票立会人
- 開票管理者及び開票立会人に関し、必要な規程を置くものとすること。
- 五 投票及び開票に関するその他の事項
- この法律及び三の2の法律に規定するもののほか、国民投票の投票及び開票に関しては、衆議院比例代表選挙の投票及び開票に関する規定の例によるものとすること。
第四 国民投票の効果
第五 訴訟*8
- 一 国民投票無効の訴訟 ※「選挙無効の訴訟」に相当する訴訟
- 二 国民投票の結果の無効の訴訟 ※「当選無効の訴訟」に相当する訴訟
- 国民投票の結果の効力に関し異議があるときは、投票人は、中央選挙管理会を被告として、国民投票の結果の告示の日から起算して30日以内に、東京高等裁判所に訴訟を提起することができるものとすること。
- 三 訴訟の処理に係る原則
- 一又は二による訴訟については、裁判所は、他の一切の訴訟に優先して、速やかにその裁判をしなければならないものとすること。
- 四 訴訟の提起が投票の効果に与える影響
- 一又は二による訴訟が提起されても、その無効判決が確定するまでは、国民投票の効果に影響を及ぼさないものとすること。
第六 再投票及び更正決定
第七 国民投票に関する周知
第八 国民投票運動に関する規制
- 一 投票事務関係者等の国民投票運動の禁止
- 二 公務員等の及び教育者の地位利用による国民投票運動の禁止
- 国又地方公共団の公務員等及ひ教育者(学校教育法に規定する学校の長及び教員をいう。)は、その地位を利用して国民投票運動をするととができないものとすること。
- 三 外国人の国民投票運動の禁止等
- 四 国民投票に関する罪を犯した者等の国民投票運動の禁止
- この法律に規定する罪により刑に処せられ国民投票の投票権を有しない者及び公職選挙法上公民権を停止されている者は、国民投票運動をすることができないものとすること。
- 五 予想投票の公表の禁止
- 何人も国民投票に関し、その結果を予想する投票の経過又は結果を公表してはならないものとすること。
- 六 新聞紙又は雑誌の虚偽報道等の禁止
- 新聞紙(これに類する通信類を含む。以下同じ。)又は雑誌は、国民投票に関する報道及び評論において、虚偽の事項を記載し、又は事実をゆがめて記載する等表現の自由を濫用して国民投票の公正を害してはならないものとすること。
- 七 新聞紙又は雑誌の不法利用等の制限
- 何人も、国民投票の結果に影響を及ぼす目的をもって、新聞紙又は雑誌の編集その他経営を担当する者に対し、財産上の利益の供与、供応接待等を行って、当該新聞紙又は雑誌に国民投票に関する報道及び評論を掲載させることができないものとすること。
- 新聞紙又は雑誌の編集その他経営を担当する者は、財産上の利益の供与を受けること等によって、当該新聞紙又は雑誌に国民投票に関する報道及び評論を掲載することができないものとすること。
- 何人も、国民投票の結果に影響を及ぼす目的をもって、新聞紙又は雑誌に対する編集その他経営上の特殊の地位を利用して、当該新聞紙又は雑誌に国民投票に関する報道及び評論を掲載し、又は掲載させることができないものとすること。
- 八 放送事業者の虚偽報道等の禁上
- 日本放送協会及び一般放送事業者は、国民投票に関する報道及び評論において、虚偽の事項を放送し、又は事実をゆがめて放送する等表現の自由を濫用して国民投票の公正を害してはならないものとすること。
第十一 施行期日
この法律は、_____から施行するものとすること。*1:転載,PDFからのHTML化に伴い,span要素によるマークアップに変更.修正点を脚注としてまとめた.
*2:修正点:「60日以後90日以内」とされていた。
*3:修正点:「国政選挙の期日その他の特定の期日」に行う旨の国会の議決がある場合には、当該期日に国民投票を行うこととされていた。→削除
*4:修正点:国民投票の期日が国政選挙の期日と重なる場合には、国民投票の期日の告示を国政選挙の期日の公示と同じ日に行うこととされていた。→削除
*5:修正点:自民党提示案では、投票権者は、国政選挙の選挙権を有する者のほか、軽微な選挙違反による公民権停止者等を含むものとされていた。
*6:修正点:自民党提示案では、公職選挙法上の選挙人名簿とは別に投票人名簿を調製することとされていた。
*7:修正点:自民党提示案では、投票用紙の様式等について規定していた。
*8:修正点:自民党提示案では、一の「国民投票無効の訴訟」と二の「国民投票の結果の無効の訴訟」を一つの訴訟として規定していたが、公職選挙法の「選挙無効訴訟」、「当選無効の訴訟」の区分にならって区別して規定した。