社民党総選挙公約2005(抄)〔社会民主党, 2005-08-18〕
いかす!「平和憲法」—政治の基本は平和憲法
1.憲法の理念を現実にいかします
日本国憲法の理念を具体化するための法整備を進めます。「平和的生存権」を実効的に保障するための「平和基本法」や、国是である非核三原則を法制化するための「非核基本法」を制定します。憲法改悪につながる国民投票法案には反対します。
2.自衛隊を縮小・再編します
肥大化した自衛隊の装備や規模を必要最小限の水準に縮小・再編します。ミサイル防衛システムの導入や武器輸出の解禁に反対します。イージス艦、軽空母、空中給油機など攻撃的な装備の保有は認めません。自衛隊内部での人権侵害を防ぐために、「自衛官オンブズマン」制度を創設します。
3.イラクから自衛隊の即時撤退を
イラク特措法に照らしてさえ、自衛隊がイラクで活動する根拠は失われており、自衛隊をイラクから即時撤退させます。「人間の安全保障」を重視し、経済開発、環境保全、人権問題などの協力を進める立場から、国連を中心とした国際協調に基づくイラク復興支援への転換に全力をあげます。
4.米軍基地のない日本を実現します
「基地返還アクションプログラム」を策定し、沖縄を最優先に、全国の在日米軍基地の整理・縮小・撤去を進めます。日米地位協定を抜本的に改定し、国内法優位の原則を確立します。在日米軍へのいわゆる「思いやり予算」を大胆に削減します。
5.アジアとの信頼回復を図ります
過去の侵略戦争を賛美する靖国神社への政府首脳の公式参拝は、周辺諸国の反発を招くだけでなく、政教分離を定めた憲法にも違反するため、強く反対します。すべての戦没者のための国立の無宗教追悼施設をつくります。アジア諸国との信頼を回復し、北東アジアに非核地帯や総合安全保障機構の創設を進めます。
雑感
憲法改悪につながる国民投票法案には反対:「改悪」って造語が嫌い.「改正」に特定の価値観がかいま見えて嫌なら「改訂」にすればいい.国民投票法案は当然「改正」*1にも利用されうるわけで,9条強化や環境権明文化(判例で十分?),さらにはおそらく社民党が願ってやまないであろう抽象違憲審査権の明文化(これも判例変更で対応可能ではある)などなどを含め,あらゆる憲法改訂を否定し,完全硬性憲法を主張しているに等しい*2.論理的必然として,何かの間違いで社民党が与党(それも2/3の議席)を確保した場合にも,前述のようなモノも含め,あらゆる憲法改正が否定されることになる(この仮定の場合,現在憲法改正を推進している勢力が野党となるが,その野党が「改悪に繋がる国民投票法案反対」と言った時に何らの反論ができない).尤も政権への夢どころか,存続の望みすら捨てた党なのかもしれないが.- 装備・規模の縮小・再編:ミサイル防衛システムはコストパフォーマンスは別として,勝れて防御的な装備であると思うのですが,斯様な防御的な装備とマニフェストで明記されている
攻撃的な装備の両方を認めないとすると,それは縮小・再編ではなく廃止ではないだろうか.それなら,どう包み隠したところで支持を得られない世論など気にせず「自衛隊廃止」を公言すればいいのに.むしろそういう硬直した所にこそ,今の社民党への少ない支持はあると思うのだが.- 靖国参拝:政教分離を定めた憲法に違反しますか?少なくても最高裁判決(判例)はない.弁護士資格を持つ方が党首を務める政党が,自党に於ける解釈としてでなく,断定して明記することに違和感を感じる*3.
国立の無宗教追悼施設:死者を追悼するための施設・モニュメントに一片の価値も感じませんが,私の感覚が通常人から乖離している事を考えれば,有権者としては賛成.是非,与野党(社公民)連携で進めてください.その場合でも,武道館における国主催の戦没者追悼式典,千鳥ヶ淵,追悼施設,原爆被災者追悼式典,靖国神社,あらゆる形での追悼に賛成(容認).