身の危険を感じたら相手を射殺してもOK フロリダ州の新法案

知らんかった
google newsだと殆ど見つけられなかったが,google:legal defense florida bill apr 2005を流し読みした感じだと批判的?
「フロリダなら合法的に殺せるよ」みたいなタイトルもあるし
で,一番知りたかった「法案名」は見当たらない感じ.詳しくないが,通称がつくのは「法案(bill)」段階じゃなくて「法律(law)」段階か?*1
(議員以外の)名前が冠されていれば,何かの事件が契機になってるはずだし,おそらくとそのタイプだろうと思っていたが,どうやらそうではない感じ.
法案を見てみたが…英語が分かない.分かったのは国会のサイト(日本)よりは—内容・構成が—立派ってコトくらい.

多くの国では「殺人罪」や「傷害罪」などの違法性阻却事由として「正当防衛」認められている.「殺人罪」や「傷害罪」に限らないけど…と書き足して不安になったので,一応調べたら,脅迫について正当防衛が認められた事例などがあった

同じく多くの国では,「正当防衛」の『適法性阻却事由』とでも言うのか,迫っている危険に応じた範囲でのみ「正当防衛」は認められる(認められないと「過剰防衛」).
一般に,「正当防衛」の要件(範囲)は「法律」で詳しくは定められていない(はず,たぶん).
結局のところ「法律」ってのは規則(法律)を守らせる為の規則ではなく,ルールの基になっている「精神」を守ってもらう為の道具だから…だと思う.
文面よりも精神が大事だから「裁判」という場で柔軟に対応する…のないかな?
「人を殺してはいけない」(規則)よりも「なぜ人を殺してはいけないのか」(精神)を重んじるからこそ,生命維持装置を外すコトが合法とされ,「法律を守らなければいけない」(規則)よりも,「なぜ法律を守らなければならないのか」(精神)が重視されたからこそ,彼の国の裁判所は暗に判決の変更を求める法律を毅然とはね付けたのだろう.
と書いても数年後に読み直したら何のコトを言ってるか自分でも分からないかも…

数年後の為のメモ.

2005年,植物状態にある女性の生命維持装置を外すか否かというアメリカ合衆国で数年来争われてきた問題が決着をみた.

  1. 外したいという元夫と,外させないという(女性の)両親の意見が対立し,訴訟になり,夫が勝訴.
  2. 州議会・連邦議会は,間接・直接に判決の取り消し(変更)を求めるような法律を作成(可決)
  3. 対して裁判所は裁判への干渉を断固拒否した
  4. 『決着』は,裁判所または議会のいずれかや,元夫・両親のいずれかが折れたわけではなく,世論が沸騰する中で女性が亡くなった

※ 今後,「安楽死」「尊厳死」に関する新たな法案が作成・可決される可能性もあるという意味では,議会が折れたとも言えない.

閑話休題
「正当防衛」の要件.日本だと刑法36条,

急迫
差し迫っていて合法的な救済=防衛手段を講じられない
不正
相手の行為が不正・不法であること(死刑執行や医者の手術のような合法な行為に対しては認められない…はず)
適切な範囲
過剰じゃないこと

ってあたり.
このへんをおおまかに定めておいて,「急迫」「適切な範囲」であるかどうか(もちろん「不正」も)の判断は裁判に委ねられる.
フロリダの例だと,「逃げる」という選択肢から解放したということで,「急迫」「適切な範囲」について,より踏み込んだ基準を示したってことかな?
日本のニュース*2だと,<自宅内>*3との対比で「<公共の場>でも」と書かれているが,つたない英語力で単語を眺めた感じでは<公共>であるかどうかについての規定はなさそう(自信なし).つまり,例えば他人の家でもいいではないかと思われる.
もしも,言われているように<公共>に限定されているのであれば,「証人(第三者)が確保しやすい」ということが要件緩和の理由かとも思ったが,そうでもなく,単に「正当防衛」の要件を緩和(明確化)しただけっぽい.
正当防衛の要件として「まず逃げる」というのを一律に課す,というのは,被害を最小限に抑える為にコンドームをつけてくれと言ったら「強姦」が「和姦」になる,のと同じくらい馬鹿げたことだと思う.
件の法律だって,自分が健常な20歳,相手がナイフ(銃じゃない)を持った老人だった場合に銃で撃ち殺して「正当防衛」に成立するわけではなかろうし,これまでだって(法律・判例で「逃げる」義務があったかどうかは分からないが)自分が老人で相手が銃を持った若者だった場合には逃げる義務はなかったのではないだろうか.
ようは,法案の文面(内容)よりも趣旨.
というわけで,法律を完訳できる語学力がないので,これ以上は踏み込めず…勉強しよう.


関係ないけど…議会のサイトにロビイストの一覧が載ってるのはスゴい.ロビイストについては功罪両論あるが,日本の「圧力団体」よりは健全.

*1:知事・大統領が署名してから「法律」になるはず.大統領拒否権の言葉で有名なように,署名を拒否すれば立法府で議決された「法案」の「法律化」を防げる

*2:「びっくりニュース」扱い

*3:これまでも判例上合法とされている