一昨日の続き.

公示前の盛り上がりが嘘のように,たった2日で選挙戦報道は下火…まあ今回限ったことじゃないですが

今日はいつ?

(昨夜=12日)NHKで,長々と夜の政治討論.出演者は与野党党首(自民党のみ幹事長).
選挙前の討論を焼き直しすらせずにダラダラやっている感じで,途中,本気で再放送かと錯覚した.
論点はともかく,与野党とも中身が選挙戦中と全く同じ.与党は国民の支持を,野党は国民の不支持を全く受け止めていないのか?
もちろん,昨日書いたように,投票によって表明された民意を個別の論点について適格に把握することは不可能.一方で,総論で支持/不支持されたことをふまえ,持論を強化/順応させる態度を見せなければ,<衆愚政治>ではなく<愚民政治>*1になってしまう.


別の視点.「多数の不支持」ではなく「少数ながらも支持」と見て,「少数者(支持者)の為に意見を貫く」という考え方もある.それなら,持論・姿勢に変化のないことにも一貫性がある.
但し,民主主義の本質は多数決,少数意見の切り捨てではないが,同時に民主主義という制度は, —その弊害として,もしくは実態として— 少数意見の切り捨てが起こり得る制度でもある.
数で対立意見(与党支持)に負けた野党支持者は,実現性を無視して,単にその少数意見を声高に叫ぶことだけを期待しているのか,それとも,相手方(与党)の政策を少しでも良くするための妥協を求めているのか.
私から見ると,極めて常識的なこの視点が,現在・過去の野党には欠けていると思われる(次の選挙ばっかり考えてる?).

そうきたか

同じくNHK(昨夜).
「自公は2/3取ったと言っても,得票数では民主と自民にそれほど差はない!」と言ってたので,かろうじて今日収録だと確認できた.
私自身,一昨日自公の暴走には危惧を表明したが,傍観者の私が言うのであればともかく,戦い,そして負けた者が,あまつさえルール(小選挙区)を利用しての勝利(政権交代)すら狙っていた者が,負けた途端に勝ち負けを忘れて,さも制度の問題かのように論調を変えるのはいかがなものだろうか.
小選挙区制に於ける「死票」の多さを理解した上で制度を推進し*2,今回もそれを利用して「小泉路線からの完全転換」を狙い,訴えてきたのではないのですか?
選挙戦中,「二大政党」であることを理由に,自民・民主のみ党首討論を要求していましたが,最大野党になれたのも,小選挙区制を使って社民・共産の議席を奪えたからではないですか?
そもそも,「アメリカでは…」「アメリカのように…」と言ってましたが,かつて大統領選に第3の候補*3が出た時は,3人で討論してませんでしたか?
民主・共和両党の大統領予備選でも,いかに上位2人が独走していても,全ての候補者による討論をしていませんか?
一言で言うと,見苦しい.おまけに…

NHKその他

  • 「『1年で辞める』と言ってる人(小泉純一郎自民党総裁)が,何を言っても!」と言ってた人(岡田・民主党党首)が,いろいろ喋ってる… 『1週間で辞める』と言ってる人が,何を言っても…

1週間で辞める人の発言についてコメントするのも何ですが,選挙戦中の暴論を再確認しましたね.
かつて,選挙後に撤回?と予想しましたが,外れた.
つまり,圧倒的多数を占める与党が「与野党協議会やりましょ」と言ってくれてるのに対し,実現可能性のある対案なし*4に「やらん!」と突っぱねると.
次の選挙でも負けますよ.

  • 自民党は年金改革をやってない!」
  • 与野党協議をしようと言ったのに,出てこなかったじゃないですか…」

今回と同じ構図.郵政以上の重要課題だけに,シャレになりませんよ.次期党首さんは是非ご再考を.
それと,与野党協議での与党の対応を批判するのなら,協議の内容を公にしてください—これは本来,国会の事務局に言うべきことですが,批判する以上はその批判の裏付けとして批判者の責任で.
国会事務局さんに謝意を表しつつ訂正.国会会議録検索システムにありました.



それはそれとして,

  • 与党の皆さんも,負けた政党の「政権公約」を今更叩かなくても…

うまい!

選挙区から遠いせいかと思ってたんですが,自殺された前議員の妻と,刑事有罪判決を受けた元議員という,話題性に富んだ選挙区の報道を全くと言っていいほど見なかった件.
(昨夜)テレビ・タックルで「マスコミを一切シャット・アウトして選挙戦に臨んだ中村喜四郎氏」と言われていた.
公職選挙法の悪運用によって,対立候補者を<平等>に報道しなければという風潮の今,一人の候補が取材を拒否すれば,その選挙区は報道禁止地域になったも同然.
実際の結果がどうなったかは分からない if の世界だが,取り上げられれば当然,過去の斡旋収賄についてカサブタをはがすような報道もされたはずで,結果は変わっていたかもしれない.
上手い!

敗北宣言

これも昨日(投開票翌日).
「コイズミ的を問う」のコーナー名で,各地での街頭インタビューを流し続けたニュース23 —「公平」に編集したのか,恣意的な編集が加えられたのかについては推測による他はないが,少なくても世論調査や他局・他メディアとは大きく異なった印象を持った.
そのNews23のメインキャスター・筑紫哲也氏が,昨日の放送で「敗北宣言」をした.
曰く「反小泉を主張*5してきて,この結果…ある意味,私も負けです」的なこと.
放送法は?
とは言いつつも,私の場合,公選法はともかく,放送法の不偏・不党,公平な報道との規定は不要だと思っていますし,他局の報道だって「公平」だとは思ってもいません.先に書いたように,今回のNews23の報道姿勢は,他局と比べて突出してるなという印象はありましたが,むしろ各局・各番組がNews23の後追いをしてしまえばいいのではないかとすら思っていた*6.但し,自らの姿勢は明示すべきだし,政党・政治団体による番組の買い上げ(番組スポンサー)も,同時に受け入れるとの前提付きで.

惨状

テレビ・新聞には比較的目を通していたし,別に今回の選挙戦に限らず,元々,政治には興味のある方.
一方で,2chやブログは普段からあまり目にしないし,今回もそれは同様.
が,一昨夜,開票速報を眺めながら,珍しくそこら辺のブログを流し読みしていたら,かなりの惨状.


ブログ界では,どうも民主(や新党日本)支持が多かったようで,自民勝利を喜ぶ声は少数.のみならず,「これで日本は終わった」「愚民ども(負け組)が,自分たちの首を絞めた結果だ.勝手にしろ」的な論調の多いこと多いこと.
そう言えば,ブッシュvsケリーの大統領選の直後も,ケリー支持者が同様の論調を展開,カナダへの移住者が一気に増えたというニュースも見た記憶がある.


一昨日・昨日あたりの論調を見ていて面白いのは —あまりに滑稽なので昨日も見てしまった— ,民主党支持者は(ブログに限らず,テレビのコメンテーターも)「わたしは賢い(=自民支持者はバカ)」と思っている様子がアリアリと見て取れる.これは,岡田・民主党党首が選挙中繰り返し言っていた「有権者は賢明な判断をするはずです」に通じるものがある(これこそ,民主敗北の根本原因ではないかとも思う).
岡田氏は,敗北を受けて「自民を支持した有権者は賢明だ」とも言えず,かと言って「民主を選ばなかった有権者は愚鈍だ」と言い切るわけにも勿論いかず,対応に苦慮していたが,そこは公的な立場にないブロガーの気楽なところ,思うがままに呪詛の言葉を打ち付けている.
政治的ログを綴ってきたブロガーの大半は,近日,その勝れた知能を活かして,外国へ移住してしまうかもしれない.いや…民主党支持者は<勝ち組>を自覚し,<負け組>の為に慈悲の心で愚鈍なる有権者を啓蒙してきただけであり,本人は自民政権が続いても困らないのだから,移住する必要はないのか?*7


私は,自分が愚かだとは思いたくはないが,万人よりも勝れているとも思っていない.フツーかそれよりも少し上くらいであろうと努力しているし,幸い,社会的評価に頼れば,努力は報われているようだ.
そんな,自称フツー人の私は,今回の結果だろうと,逆に民主が大勝していようと「日本は劇的に良くもならなければ,劇的に悪くもならない」とかなり達観している.
どちらの方向に進むにしろ,一度の選挙で爆発的に加速できるほど,日本の社会・制度・政治は単純ではない*8

*1:「愚民」は,選ばれた人(政党)を指す

*2:前身の新進党だか新生党時代の話だが

*3:どっかのお金持ち

*4:対案は出すのかもしれないが,与党からちょっとばかりの造反が出たところでどうにもならない

*5:無論,そんな直接的な言い方はしてませんでしたが.正確に何といってたかは忘れた…

*6:総務省が放送事業者の許認可権を握っているとはいえ,実際問題,放送免許の取消できないと思う

*7:実際,米国でのカナダ移住も,極めて一時的,一部での現象だったはず

*8:単に政権交代や,強いリーダーシップを発揮する首相の出現で,瞬時に劇的に変わるほど日本の社会・制度・政治が単純ではないことは,国民の共通認識であり,それこそが,道路公団・年金を始めとする小泉改革の遅さ・不十分さを指摘した野党が支持を得られなかった理由ではないだろうか.もう1点,「敗北」の理由でなく,「大敗北」の理由として,圧倒的不利が報道される中で尚,単に「議席増」や「巨大な野党の存在意義(≒「確かな野党」©共産党)」ではなく「政権交代」を訴えたことが考えられる.前回・前々回,政権交代を期待した得票も多かっただろう.しかし今回,もはや(今回は)見込みのない「政権交代」を言うのみで,「野党」としての存在意義を提示できなかったことは,前回・前々回の支持者を自民党に鞍替えさせるまでは至らずとも,棄権や他野党への投票に向かわせたことは十分に考えられる.