熱いうちにも少し打っておく

激戦区が少なくないようで,また比例でも少数勢力(社民・新党日本あたり)が当落線上にいるようで,加えてテレビ各局でも未だに予想が統一されず,確定的な議席数はまだ分からないが…だからこそ,今のうちに…


野党の「反省」「総括」で出てきそうな言葉。

  • 小泉劇場にやられた
  • 郵政が争点になってしまった

裏を返せば「自分たちの(郵政以外の)政策が否定されたわけではない」と言った論調が出てきそうな気がする。
加えて言えば,今後の国会(委員会)でも,「アナタ(小泉さん)は,郵政を争点に戦ったので,アナタの年金政策やその他諸々が支持されたわけではない!(だから我々は断固反対)」等のセリフも予想される。


ところで,公示前・選挙戦中,各メディアの世論調査では(ニュース番組などでの街頭インタビューでも)「最大の争点は?」「何を基準に投票しますか?」との質問に対し,郵政民営化は軒並み低調を窮めた。
現に,野党もメディアも,これらを根拠に小泉氏の手法・争点を批判してきた。
万が一,私の予想通り「小泉劇場」や「争点の単純化」を理由に自己正当化・与党批判をする野党があれば,「国民は郵政以外で投票しているはず。根拠は世論調査!」と返したい(返してほしい)。相手がメディアであれば「国民は郵政以外で投票してる。根拠はアンタらの(投票前)報道!まさか,実際の街頭インタビューを恣意的に編集して,少数の声を,さも多数の声であるかのように放送してはいませんよね?」と返す。
それとも,世論調査で「郵政は些細な争点」と答えた人が,投票政党は「自民党」のまま*1,投票理由だけを「郵政民営化」に変更したと,根拠のない主張・推測がなされるのだろうか。
もちろん,「郵政」やそれによって象徴される「構造改革」を理由に(自公に)投票する一方で,各論を聞けば民主党年金一元化案や共産党法人税率引き上げを支持していた人も少なくないだろう(後者=共産支持はさすがにあんまりいないかも)。
しかし同時に,世論調査に依れば郵政・構造改革以外も十分に争点になっていたし,加えて,先に書いた議会制民主主義における投票行動の意味を考えれば,仮に世論調査以上に郵政・構造改革が争点となっていたとしても,「自民党(自公・小泉政権)」が支持を受けたことには変わりはない。


但し,過去に自民党が同様の多数議席を獲得した時と同様,如何に大量の議席を獲得しようとも(逆にギリギリの過半数であったとしても),全ての政策が具体的に承認されたわけではないし,仮に多数に支持された政策であっても,民主主義は51%の声のみを聞いてそれで済む制度ではない。実際問題,メディア(及びそれに扇動された世論)の力・影響もあり,本当に「独裁」的なことをするのはそう簡単ではないし,これまでそれがなされたことはないと思うが,念の為懸念を表明しておく。

感想

  • ともあれ,造反組(本質的には自民党)の当選数によれば,下手すると「自民」単独で特別多数*2に届くな… 国民新党新党日本さん,「首班指名」ではムリでしたが,上手く行けばで「憲法改正」のキャスティングボートを握れそうですよ!
  • 参議院で否決されて衆議院を解散… → 「仮に特別多数(2/3)を取れば再議決可能なのだから,<理論上は>民主主義の否定でも,独裁でも,『理屈を無視した行動』でもない」と選挙前から言っていたが(たぶんダイアリーには書いてない),まさか<理論上が>が取れ,それが実証されるとは…
  • 小沢神話崩壊?
    • 出口調査の結果がどれだけ外れようと,小沢氏の構想(と言われてるモノ)は何の意味もなくなった
    • 民主党内で岡田路線の敗北として小沢路線が強まるか,はたまた旧態の敗北として若返りが進むか…「政界再編」は遠のいたが,「民主再編」は確実な情勢
  • 次の勝負は参院選?衆参同時選挙?本年が,55年体制の最後のピークとなるか*3,新55年体制(05年体制)の始まりの年となるか*4
    • 小泉氏が公言している通り,任期満了で総裁・首相を辞めれば,次期総裁・首相で参院選に臨むことになるが,今回の結果を受けて慰留の動きは強まりそう*5
  • ↑も含め,今晩からしばらく,焦点は組閣に移るだろう
    • 任期満了で辞めるつもりがあるか否か,辞めるとすれば誰が次期総裁候補の最右翼になるか,組閣によって小泉氏の目論みが見えるか否か
    • 個人的には,
      • もし辞めるつもりであれば,斬新な人事は行わず,次期参院選の争点対照となる次々期政権(小泉氏任期満了後の内閣)で斬新な人事を一気に行うことで,次期参院選に今回の勢いを繋げる戦術(そうそう毎回斬新な事はできないので,先を見据えて出し惜しみ)がよいと思う
      • 留任するつもりであっても,「公約(公言)違反」の批判をかわすため,超斬新な人事は次々期政権に取っておいた方がいいのは同様かな
  • 自民党の受け止め方。「この勢いならしばらくは行ける」として旧態然とした政党に戻るか,それとも「次は揺り戻しが来る」と懸念して必要以上に公約(マニフェスト)を推進するか。後者を希望。

*1:各社の最大規模の世論調査では産経が自民党300議席を予想したように,軒並み現在(たった今)報道されている結果に近い予想がされていた。

*2:憲法改正発議権,衆議院単独可決ラインの2/3(憲法改正発議は正確には衆参両院それぞれで2/3が必要。念の為)

*3:「揺り戻し」が高い確率で予想しうるので,93年の非自民連立政権樹立ではなく,「揺り戻し」で作られる非自民政権,二大政党制の確立を以て「55年体制」の真の崩壊と位置づける。

*4:今後の動向次第でこの状態で安定する?

*5:人気のみなら次期総裁候補(というよりも次期首相候補)の筆頭にいながら,年齢や発言でその実現可能性は低いとされ,本人もあまりその気のなさそうな安倍晋三氏が総裁…とまではいかなくとも,かなりの要職につく可能性は高い。少なくてもキャスティングボートは一手に握るだろう