新憲法第一次案〔自由民主党, 2005-08-01〕
郵政法案のゴタゴタの渦中だったせいか,法律関係のニュースをピックアップする用NewsNoNewsフィルタが上手く働かなかったのか,ちょっと遅れて気付いた,自民党の新憲法草案(第一次案)。PDFだったのでHTML化。
現憲法(「昭和憲法」)をベースに,改正要綱を疑似的に条文化したものなので,条番号の抜け落ち(削除・統廃合)や,法律に馴染みのない人には分かりにい「◯条の2」*1のようなモノがある。
見出し及び条文番号は現段階ではあくまで参照のための便宜的なものである。
第一章 天皇
- 第1条【天皇】
- 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基づく。
- 第2条【皇位の継承】
- 皇位は、世襲のものであって、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。
- 第3条
- (第6条第4項・第5項参照)
- 第4条【天皇の権能】
- 天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行い、国政に関する権能を有しない。
- 第5条
- (第7条参照)
- 第6条【天皇の国事行為】
- 第7条【摂政】
- 第8条【皇室の財産の譲渡等の制限】
- 皇室に財産を譲り渡し、又は皇室が財産を譲り受け、若しくは贈与するには、法律で定める場合を除き、国会の議決を経なければならない。
第二章 安全保障
第3章 国民の権利及び義務
- 第10条【日本国民】
- 日本国民の要件は、法律で定める。
- 第11条【基本的人権の享有】
- 国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与えられる。
- 第12条【国民の責務】
- この憲法が国民に保障する権利は、国民の不断の努力によって、保持しなければならない。国民は、これを濫用してはならないのであって、自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚しつつ、常に公益及び公の秩序に反しないように自由を享受し、権利を行使する責務を負う。
- 第13条【個人の尊重等】
- すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利んいついては、公益及び公の秩序に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
- 第14条【法の下の平等】
- すべての国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
- 華族その他の貴族の制度は認めない。
- 栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴わない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。
- 第15条【公務員の選定等に関する権利】
- 第16条【請願をする権利】
- 何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有する。
- 請願をした者は、そのためにいかなる差別待遇も受けない。
- 第17条【公務員の不法行為による損害の賠償を求める権利】
- 第18条【奴隷的拘束及び苦役からの自由】
- 何人もいかなる奴隷的拘束も受けない。
- 何人も、犯罪による処罰の場合を除き、その意に反する苦役に服させられない。
- 第19条【思想及び良心の自由】
- 思想及び良心の自由は、侵してはならない。
- 第20条【信教の自由】
- 信教の自由は、何人に対しても保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。
- 何人も宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。
- 国及び公共団体は、社会的儀礼の範囲にある場合を除き、宗教教育その他の宗教的活動をしてはならない。
- 第21条【表現の自由】
- 集会、結社及び言論、出版、その他一切の表現の自由は、何人に対しても保障する。
- 検閲は、してはならない。通信の秘密は、侵してはならない。
- 第22条【職業選択等の自由】
- 何人も、公益及び公の秩序に反しない限り、居住、移転及び、職業選択の自由を有する
- 何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。
- 第23条【学問の自由】
- 学問の自由は、何人に対しても保障する。
- 第24条【婚姻及び家族に関する基本原則】
- 婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
- 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。
- 第25条【生存権等】
- 第26条【教育に関する権利及び義務】
- すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。
- すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子に普通教育を受けさせる義務を負う。義務教育は無償とする。
- 第27条【勤労に関する権利等】
- すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負う。
- 賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律で定める。
- 児童は、酷使してはならない。
- 第28条【勤労者の権利】
- 勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、保障する。
- 第29条【財産権】
- 財産権は、侵してはならない。
- 財産権の内容は、公益及び公の秩序に適合するように、法律で定める。
- 私有財産は、正当な補償の下に、公共のために用いることができる。
- 第30条【納税の義務】
- 国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負う。
- 第31条【適性手続の保障】
- 何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪われ、又はその他の刑罰を科せられない。
- 第32条【裁判を受ける権利】
- 何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪われない。
- 第33条【人身の自由】
- 何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、裁判官が発し、かつ、理由となっている犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない。
- 何人も、正当な理由なく、かつ、その理由を直ちに告げられることなく、抑留され、又は拘禁されない。
- 抑留され、又は拘禁された者は、直ちに弁護人に依頼する権利並びに拘禁の理由を直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示すことを求める権利を有する。
- 第34条
- (第33条第2項・第3項参照)
- 第35条【住居等の不可侵】
- 何人も、正当な理由に基づいて発せられ、かつ、捜索する場所及び押収する物を明示する令状によらなければ、その住居、書類及び所持品について、侵入、捜索又は押収を受けない。ただし、前条第1項の規定により逮捕される場合は、この限りでない。
- 前項本文の規定による捜索又は押収は、裁判官が発する各別の令状によって行う。
- 第36条【拷問等の禁止】
- 公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対に禁止する。
- 第37条【刑事被告人の権利】
- すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。
- 被告人は、すべての証人に対して審問する機会を充分に与えられる権利及び公費で自己のために強制的手続により証人を求める権利を有する。
- 被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができる。被告人が自らこれを依頼することができないときは、国でこれを付する。
- 第38条【刑事事件における自白等】
- 何人も、自己に不利益な供述を強要されない。
- 拷問、強迫、その他の強制による自白又は不当に長く抑留され、若しくは拘禁された後の自白は証拠とすることができない。
- 何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされない。
- 第39条【遡及処罰等の禁止】
- 何人も、実行の時に違法であった行為又は既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問われない。同一の犯罪については、重ねて刑事上の責任を問われない。
- 第40条【刑事補償を求める権利】
- 何人も、抑留され、又は拘禁された後、無罪の裁判を受けたときは、法律の定めるところにより、国にその補償を求めることができる。
第4章 国会
- 第41条【国会と立法権】
- 国会は、国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である。
- 第42条【両議院】
- 国会は、衆議院及び参議院の両議院で構成する。
- 第43条【両議院の組織】
- 両議院は、全国民を代表する選挙された議院で組織する。
- 両議院の定数は、法律で定める。
- 第44条【議員及び選挙人の資格】
- 両議院の議員及び選挙人の資格は、法律で定める、この場合においては、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産、又は収入によって差別してはならない。
- 第45条【衆議院の任期】
- 衆議院議員の任期は、4年とする。ただし、衆議院解散の場合には、その期間満了前に修了する。
- 第46条【参議院の任期】
- 参議院議員の任期は、6年とし、3年ごとに議員の半数を改選する。
- 第47条【選挙に関する事項】
- 選挙区、投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は、法律で定める。
- 第48条【両議院議員兼職の禁止】
- 何人も、同時に両議院の議員となることはできない。
- 第49条【議員の歳費】
- 両議院の議員は、法律の定めるところにより、国庫から相当額の歳費を受ける。
- 第50条【議員の不逮捕特権】
- 両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、その議院の要求があれば、会期中釈放しなければならない。
- 第51条【議員の発言及び表決の無答責】
- 両議院の議員は、議院で行った演説、討論又は表決について、院外で責任を問われない。
- 第52条【常会】
- 国会の常会は、毎年1回招集する。
- 常会の会期は、法律で定める。
- 第53条【臨時会】
- 内閣は、国会の臨時会の招集を決定することができる。いずれかの議院の総議員の4分の1以上の要求があれば、内閣は、その招集を決定しなければならない。
- 第54条【衆議院の解散、特別会及び参議院の緊急集会】
- 第55条【資格訴訟の裁判】
- 両議院は、各々その議員の資格に関する争訟を裁判する。ただし、議員の議席を失わせるには、出席議員の3分の2以上の多数による議決を必要とする。
- 第56条【表決及び定足数】
- 第57条【会議及び会議録の公開等】
- 両議院の会議は、公開しなければならない。ただし、出席議員の3分の2以上の多数で議決したときは、秘密会を開くことができる。
- 両議院は、各々その会議の記録を保存し、秘密会の記録の中で特に秘密を要すると認められるものを除いては、これを公表し、かつ、一般に頒布しなければならない。
- 出席議員の5分の1以上の要求があるときは、各議員の表決を会議録に記載しなければならない。
- 第58条【役員の選任並びに議院規則及び懲罰】
- 両議院は、各々その議長その他の役員を選任する。
- 両議院は、各々その会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定め、及び院内の秩序を乱した議員を懲罰することができる。ただし、議員を除名するときには、出席議員の3分の2以上の多数による議決を必要とする。
- 第59条【法律案の議決及び衆議院の優越】
- 第60条【予算案の議決等に関する衆議院の優越】
- 第61条【条約の承認に関する衆議院の優越】
- 条約の締結に必要な国会の承認については、前条第2項の規定を準用する。
- 第62条【議院の国政調査権】
- 両議院は、各々国政に関する調査を行い、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる。
- 第63条【閣僚の議院出席の権利と義務】
- 第64条【弾劾裁判所】
- 国会は、罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するため、両議院の議員で組織する弾劾裁判所を設ける。
- 弾劾に関する事項は、法律で定める。
- 第64条の2【政党】
- 国は、政党が議会制民主主義に不可欠の存在であることにかんがみ、その活動の公明及び公正の確保並びにその健全な発展に努めなければならない。
- 政党の政治活動の自由は、制限してはならない。
第5章 内閣
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個人的ポイント
- 草案大綱段階で随分と物議をかもした国民の責務は予想よりも抑えた内容〔12条〕*2。但し,義務と権利はセット(権利には義務が伴う)という,中学生なみの思考がありそうなのは不安。
- そもそも,草案大綱では明らかに「創憲」とでも言おうか,完全に新たに制定する勢いだったが,現状では明らかに「改憲」に留まりそう。
- 公共の福祉:12・13・22・29全条で改変。12・13は「公共の福祉」でボカした方がいいかとも思うが,全てが統一されて改変されてみると,裁判実務に於ける影響は殆どなさそう*3。逆に12・13条だけ維持される方が,既存の「公共の福祉」の概念(判例)の確認が必要になってしまうかも。-->
婚姻は、両性の合意のみに基づいて:同性婚に積極的に賛同・推進するわけじゃないが,憲法で同性婚を否定する必要まではないと思う(法令論のレベルで議論すれば十分)。現行憲法制定時の同規定は,「家」制度の廃止を目的としているので,司法解釈で同性婚の容認も可能ではないかという綱渡り・・・紐渡りレベルの論理に興味があるが,「新憲法」で同規定が存続すれば,紐はプッツリ断ち切られることになる*4。- 定足数〔56条〕:「議事の定足数」が「議決の定足数」に変更。
政教分離規定・目的効果基準
靖国参拝を見越した改正が加わるのではないかと言われていた(判例をふまえて目的効果基準を明文化するだけではないかとも言われていて)政教分離規定の緩和は,目的効果基準よりも厳しめの「社会的儀礼の範囲」で留まっている〔20条3項〕。 以下私見。(個人的には参拝推進派ではないし,靖国神社の提示する歴史観には大きな疑義を持つ。が,同時に靖国参拝を違憲とは解していないので「容認」の立場。以下では,自民党に多いであろう参拝推進派の意図には留意した上で,個人的な立場・見解を抑え,できるだけ客観的に記述したつもり。結論だけ言うと「自民党さん,それじゃダメですよ,禍根を残しますよ」って感じ。) 津地鎮祭訴訟上告審判決の理由部分(=判例,「目的効果基準」)でなく,結論部分のみ引用した印象。 津地鎮祭判決で示されたのは,大きく分けて2点。「社会的儀礼だから即合憲」の二段論法ではなく,「社会的儀礼(目的セーフ)で,かつ効果が特定宗教の助長etcにあたらないので,合憲」の三段論法で合憲となった。 一方で,愛媛県玉串料訴訟(上告審)では,玉串料が社会的儀礼にすぎないとまでは言えず,県と特定宗教団体との間に特別のかかわり合いを持ったことを否定できないとして,違憲とされた*9。 また,箕面市忠魂碑・慰霊祭違憲訴訟(上告審)では,
- ある行為の目的が宗教的意義を持ち,その効果が特定宗教(団体)を援助・助長・促進・圧迫・干渉する場合のみ憲法20条違反となる(目的効果基準*7)
- 通俗的儀礼*8の範囲にある行為(=地鎮祭:目的が通俗的)は,効果が特定宗教の助長にあたらないので,合憲
市が忠魂碑の存する公有地の代替地を買い受けて右忠魂碑の移設、再建をした行為及び右忠魂碑を維持管理する地元の戦没者遺族会に対しその敷地として右代替地を無償貸与した行為は、右忠魂碑が、元来、戦没者記念碑的性格のものであり、特定の宗教とのかかわりが少なくとも戦後においては希薄であること、右戦没者遺族会が宗教的活動をすることを本来の目的とする団体ではないこと、市が右移設、再建等を行つた目的が、右忠魂碑の存する公有地を学校用地として利用することを主眼とするもので、専ら世俗的なものであることなど判示の事情の下においては、いずれも憲法二〇条三項により禁止される宗教的活動には当たらない。とされている(手抜きして引用)。 一言で言うと,「目的・効果について個別判断するよ」ってことにすぎない。 目的効果基準をそのまま明文化しようと思えば,20条3項は,「国及び公共団体は,宗教教育その他の宗教的活動をすることによって,特定の宗教及び宗教団体を援助・助長・促進・圧迫・干渉してはならない」とでもなるはず。 例えば「参拝」自体は,奇しくも小泉氏が「初詣で」として「靖国参拝」を行ったように,多分に通俗的である。一方で「靖国参拝」が靖国神社や神道,または民間信仰的な神道とは趣の異なる,旧国家神道的色彩を強く持つ「神道」を助長するとすれば違憲となる(靖国への参拝,または羽織袴を身に着けての参拝,終戦記念日に靖国参拝,はたまた終戦記念日とも初詣でとも関係ないなんて事のない日に参拝,それぞれに効果は均一ではなく,神社全般への参拝自体は通俗的であるが,小泉靖国参拝は違憲という可能性もある)。 さらに,自民1次案では,「靖国参拝」が助長にあたらくとも,社会的儀礼の範囲外であれば違憲となってしまう。(もちろん,昭和憲法時代の判例を踏襲し,社会的儀礼に加えて目的効果基準が上乗せされる可能性もある)対照
仮名遣いの変更点は省略(現憲法の仮名遣いは現在の通例に則して変更の上で引用)。憲法上の扱いが曖昧だった,内閣不信任決議を経ない衆議院の解散(内閣総理大臣の職権による解散)について。条番号変更・移動
***衆議院の解散
- [現]3条(内閣の助言と承認)→[自]6条4項,5項
- [現]4条2項(国事行為の委任)→[自]6条3項
- [現]5条(摂政)→[自]7条
- [現]34条(日本版ミランダ条項)→[自]33条2項・3項
なんか,相変わらず曖昧。内閣総理大臣の権能として衆議院解散をストレートに規定してしまえばいい気もするが,はっきり書きたくないのだろうか。-->
現憲法 自民1次案 6条2項3号 衆議院を解散すること。 第54条第1項の決定に基づいて衆議院を解散すること。 54条1項 (新設) 衆議院の解散は内閣総理大臣が決定する。 いちおう9条
現憲法 自民1次案 9条1項 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。 日本国民は、諸国民の公正と信義に対する信頼に基づき恒久の国際平和を実現するという平和主義の理念を崇高なものと認め、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求する平和国家としての実績に係る国際的な信頼にこたえるため、この理念を将来にわたり堅持する。 9条2項 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。 前項の理念を踏まえ、国際紛争を解決する手段としては、戦争その他の武力の行使又は武力による威嚇を永久に行わないこととする。 9条3項 (新設) 日本国民は第1項の理念に基づき、国際社会の平和及び安全の確保のために国際的に協調して行われる活動に主体的かつ積極的に寄与するよう努めるものとする。 *1:法律の条文は,条・項・号の順,また「前段」「後段」「但書き」などに細分化される。ある法律を全面改正する場合,条番号もゴッソリ変更されるが,一部改正で,例えば9条と10条の間に9条に関連する条文を追加する場合,追加するモノを10条にすると以前の10条を11条に,以下全てを順送りしなければならず,また法律の中では「10条の例による」のように他の条文を参照すること,さらに別の法律から「民法10条の場合をのぞき」のように参照される場合もあり,ある法律に1条追加する為に数多の法改正をしなければならないことになる。そこで,このような場合に,追加する条文を「9条の2」とすることが多い。たまーに「9条の2」を「9条2項」と勘違いする人もいるので念の為の注記。詳しくは別項「法律の基礎? 0.1」参照。
*2:尤も,新聞報道ではなく原文を見ればそれなりに注記がしてある
*3:一発「文言の変更によって性質に変化のあるものではない」程度の判例は必要かも
*4:「家」制度が実質的に滅失し,かつ同性婚がすでに論題となっているので,その状況の中で改めて定められた同規定は同性婚を禁止する意図・目的・性質を持つ
*5:「出席議員の1/2以上の多数」とされている事項。憲法・国会法では内容毎に議決の定足数を定めているので全ての事項が1/6で議決可能なわけではない
*6:本改正案で議決が要件に加えられている
*7:ちなみに「目的効果基準」の生みの親である米国では,日本とは逆で「目的・効果が特定宗教の助長にあたらない場合のみ合憲」。つまり,日本では原則合憲・例外違憲,米国では,原則違憲・例外合憲。どう違うかと言えば,端的に言うと,米国では違憲主張をする側は宗教的行為であることのみ証明すれば違憲が推定され,政府側が目的・効果が特定宗教の助長にあたらないことを立証して始めて合憲となる。日本では,違憲主張側が宗教的行為であること,及び目的・効果が特定宗教の助長にあたることを証明しなければならない。
*8:判例で使われている用語。「社会的儀礼」はこれを意図していると思われる
*9:オレが無宗教・無信仰なせいかもしれないが「玉串料」が何なのか,お賽銭とは違うのか,分からないし,周囲でも分かる人は少ないようなので,確かに「通俗的」とまでは言えないだろう