珍しく…:民主党党首・前原誠司氏の憲法知識が不十分とは言えない件と小泉靖国訴訟大阪高裁判決の上告可能性(消極)

人様の考えや意見に—それも私と同様に大した影響力も権威も持たない「フツーの人」のそれに—面識もない私がとやかく言う必要はないと思っている.それを求める人もいないだろうし…*1
が,今日は珍しくそれをやってみる.(少なくてもそれが公の場での発言や記述であればそうする権利はある思うし)


偶々発見した記事.
thessalonike2という方の「世に倦む日日」(Exciteブログ*2)の10月20日付「憲法に無知な前原誠司 − 靖国問題で小泉首相を追及できず」という記事.

手始め

目に付いたのは後半の記述だが,とりあえず冒頭にも一個ツッコミ所が.

昨夜のNHKの7時のニュースで前原誠司小泉首相党首討論の様子が放送されて、靖国問題についての応酬を垣間見たのだが、(略)
(引用者注:前原氏は)小泉首相憲法19条の個人の思想信条の自由を持ち出して靖国参拝を正当化したなら、即座に憲法20条の政教分離の原則で切り返して反撃しなければならなかったのである。
(略)
先月30日の大阪高裁判決の話に持ち込んで行けばよかったのである。

thessalonike2氏も垣間見たとして,—そのつもりがあったかどうかは分からないが—全編を見たわけではない点は明示している.それにしても他人の発言を,正確には他人が「発言していないという点」を論評するのであれば,簡単に当れる資料は当るべきだろう.せっかくネット環境があるのだし…*3
ましてや,以下のような酷評をするのなら—私見ではもはや<罵詈雑言>—尚更のこと.

靖国問題の討論で小泉首相を追い詰める場面を国民に見せたいのなら、野党党首は当然この大阪高裁判決を論点にして弾劾すべきであり、これ以上有効な論戦の武器はない。にもかかわらず前原誠司はそれをしなかった。それどころか「誰が(参拝しては)いけないと言いましたか」と奇妙な方向に話を向けて結果的に小泉首相を逃がした。
小泉首相憲法の知識がないが、それ以上に前原誠司にも憲法の知識と素養がないのだ。憲法や法律を使って論理を組み立て論敵を追い詰めるということができない。バカである。政治家として失格だ。恐らく前原誠司の頭の中では、靖国問題憲法問題ではなくてイデオロギー問題なのである。憲法問題をイデオロギー問題だと錯覚している。その二つの区別ができていない。憲法問題という範疇が頭の中にない。前原誠司高坂正堯国際政治学を習ったのだが −悪口を言って恐縮だが −京都の法学部というのは東京に較べて本当にレベルが低い。憲法をまともに教わっていないのがよく分かる。憲法論議ができない政治家が政党の指導者をやる資格はない。前原誠司憲法20条がなぜ国の宗教活動を禁じているか、その意味を理解できていないだろう。この男は基本的に小粒の政治官僚で、予算や外交なら小賢しく口を出せるが、憲法や国家を論じる政治家の器量がない。政治哲学を持っていない。
大事な憲法論議ができないまま小泉首相を窮地から救って、その直後にこの男はこう言った。「ポケットから賽銭出してチャリン。こんな不謹慎な話はない。むしろ亡くなった方に失礼だ」。右翼方面へのウケを狙って一生懸命考えた末の論難演出だったのだろうが、バカじゃないか。普通の人間なら神社へ行ってお参りするときは小銭を賽銭箱に投げ入れているんじゃないのか。初詣のときは誰でもそうしているだろう。賽銭をチャリンと出すと神社の祭神に不敬で不謹慎だとでも言うのか。それとも、神社への賽銭は何か熨斗袋にでも包んで宮司に手渡すのが作法だとでも言うのか。それとも、靖国神社に総理大臣が参拝するのだから、きちんと神道形式に則って玉串料を捧げて、清めと祓いを受けて、本殿まで上がって御柱に敬礼しろとでも言うのか。右翼の票が欲しいのか。昨日の前原誠司の話は小泉首相に対する追及にも批判にもなっていない。哲学と憲法論を持たない政治官僚の小僧には野党第一党の党首は無理だ。
議員を辞めて、もう一回大学に戻って、宮沢俊義憲法概論でも勉強し直せ。

先に,結果だけ言っておくと,前原氏は憲法20条の政教分離の原則で切り返して反撃しています.したがって上の引用文はその前提を見事に欠いているわけで<罵詈雑言>以外の何物でもありません.
引用文中悪口を言って恐縮だがとのエクスキューズがあり,これは京都の法学部というのは(略)にかかっているが,前原氏自身への批評,前提を欠いたマイナス方向の批評こそ「悪口」以外の何物でもないだろう.(京都の法学部云々*4は理由すら書いてないので,また後述するように「法学」知識の浅薄さをthessalonike2氏が見事に露呈している中での記述なので誰も気に止めないだろう,ということでここでは触れない)


以下,本項ではthessalonike2氏の不注意を指摘しますが,私は別に前原氏の支持者でも,民主党支持者でもありません.*5


さて,党首討論に限らず,国会の全委員会*6の模様は,(現在は)全てウェブで配信されている*7
そして,奇しくもthessalonike2氏が件の記事を書いた同じ20日に私自身がダイアリでも触れているように,問題の党首討論の動画も,

  • サイズの大きいものしかない参議院
  • サイズの大小が選べる衆議院

両者に置いてある.

靖国関連の質問は50分頃から始り*8.前原氏が憲法20条3項「政教分離」を引いて反論したのは55分30秒頃.(いずれも衆院版の時間.今回,改めての確認はしていないが,通常,参院版は前後のテロップが長かったり,そもそも無駄に容量がデカいので,衆院版を利用した.)
発言を書き起こし引用しておく*9

1945年の今の憲法以降であれば,憲法には思想信条の自由だけでなくて,政教分離ってのが書いてある.そして大阪高裁では違憲判決*10も出てる.

条番号こそ挙げていないものの,キッチリと「政教分離」および大阪高裁判決について指摘しています.
簡単過ぎる?短すぎる?それには理由があります.
簡単に前後の経緯をまとめます.*11

  1. 先に注で書いたとおり,直前の前原氏の発言(質問)は47分30秒頃から.約3分30秒間.質問の主内容は日中関係靖国は刺し身のツマ扱い.
  2. 51分過ぎから小泉氏が答弁.最初は靖国には触れず前原氏の主質問である日中関係について.
  3. 52分頃から,小泉氏が靖国について(お決まりの)答弁.
  4. 靖国答弁の続く53分頃,前原氏が小泉氏の答弁が「長い」として遮ろうとし,委員長から注意を受ける.ヤジ,委員長の注意が飛び交い,一瞬騒然とする.
  5. 54分直前.小泉氏「思想信条の自由」発言.
  6. 55分直前.小泉氏,答弁終了.(「なぜ靖国参拝したらいけないんですか?」と前原氏に再質問して結ぶ)
  7. 委員長,前原氏指名の前に「手短にお願いします」
  8. 前原氏,「テレビ中継終わったから…」と前置きして靖国について発言.
  9. 55分30秒頃.前述のように,前原氏が「政教分離」指摘.同じく前述(注参照)の委員長による「予定時間が過ぎているのでまとめてください」は56分頃.
  10. 57分直前.前原氏,発言終了.委員会終了.

4つめ,小泉氏の答弁が長いとして議場が騒然としたあたりは,一部のニュースでも流れたはずです—NHKの7時のニュースがどうかは知らない.
つまり,前原氏は別に憲法に無知なわけでも—少なくてもthessalonike2氏が指摘するレベルでは—,先月30日の大阪高裁判決の話に持ち込んで<行かなかった>わけでもなく,単に憲法知識を披露する時間も,大阪高裁判決に話を持ち込む時間もなかっただけ
これが委員会質疑を見た,私の感想&thessalonike2氏への指摘・批判.
なお,蛇足として補足しておくと,「党首討論」に限らず,国会における委員会での発言には持ち時間があります.不勉強で根拠法は知りませんし,手間なので調べてもいませんが,少なくても委員会審議を数回でも見たことがあれば,政府側の答弁が長いといって文句を言っている野党議員を一度は目にしたことがあると思います(つまり,持ち時間があることは類推はできるはず*12).なお,委員会冒頭でも委員長が「時間厳守」の旨を注意しています.
さらに付言すると,それ以外の小泉氏の答弁は概ね1分程度.実際,「長い」と文句がでた答弁も,本題の日中関係については丁度1分程で終わっています.*13


閑話休題
別に見ず知らずのthessalonike2氏の揚げ足取りをしたいわけではなく—揚げ足は後で別の話で取らせていただく…

  • 「報道」を盲信しちゃいけませんよ
  • 論評には一次資料,それが入手できなくてもできるだけ一次資料に近いものを使いましょう
  • ましてや他人に罵詈雑言投げつけるなら…

と言った点を指摘したかった次第.
thessalonike2氏が例えば,

  • 小泉氏の「思想・信条の自由」発言に対して,thessalonike2氏自身の言葉で批判を展開していたり,
  • 報道された前原氏の発言について直接的な論考を披露していたり,
  • 前原氏の論文などを論拠に論考しているたり,

であれば,こんな細かいことをあげつらう必要はないし,本項を書こうとも思わなかったでしょう.
thessalonike2氏が,前原氏が実際には発言している内容を「言ってない」と決めつけているだけであったとしても,単に「無知」,そう言って言いすぎなら「不注意」と私が思って済ませれば十分ですが,thessalonike2氏は容易にできる調査すらせず,間違った前提に立って前原氏を「無知」とし,数々の罵詈雑言を投げつけてまでいます.
これはせめて,—目にしてしまった以上—前提が間違っている点くらいは指摘しておかなければ,と思った次第.

本題

以上は,長くなったが「傍論」.
今日の本題(本命のツッコミ)はこちら
…と思ったのだが,あまりに長くなったので,日付を変え,明日の日記に移す
…つもりだったのだが—実際,半分以上は書き上げたのだが—,件の記事のトラックバックを2つほど遡ったら,既に指摘している方がいるようなので,加えて,thessalonike2氏の法律に関する知識がどの程度なのか推測もできず,とてつもなく長くクドくなったので,割愛.
割愛した「本題」は,小泉靖国訴訟・大阪二次訴訟控訴審判決(9月30日大阪高裁)*14の上告可能性.

要旨は…

無論、勝訴していても上告はできます。(省略)

民事訴訟法 第312条
上告は、判決に憲法の解釈の誤りがあることその他憲法の違反があることを理由とするときに、することができる。

ですから、下のような新聞記事が出るのです。法的に上告が不可能であれば、このような新聞記事が出るはずがありません。

上の引用だと「このような新聞記事があるのだから(根拠),上告は可能なはず」との主張にも読めるかもしれませんが,実際は,民事訴訟法312条(1項)の記述を根拠に上告は可能と主張,新聞記事の件はその傍証,論理補強のようです.どちらにしろ間違ってますが.

  • 無論、勝訴していても上告はできますというトンデモな記述については,山口貴士氏(弁護士山口貴士大いに語る)氏が指摘していらっしゃいます.(結論は「上告の利益がないのだから無理」)
  • そして,新聞記事については,gori氏(Irregular Expression)が指摘していらっしゃいます.(結論は「いや『上告は無理』って書いてる新聞記事あるしw」)

一つ付け加えておくと,上告状の提出は物理的には可能で,それは「オレはお前が嫌いだ」と裁判所に訴えるのが(物理的に)可能なのと同様です.しかしどちらも不適法で却下されます.つまり,<法的に不可能>です.


thessalonike2氏が,山口氏,gori氏,両氏の記述を見て尚「上告は法的に可能,新聞もそう考えてる」と思われるのであれば,もはや何を言っても無駄…ではないにしろ,民事訴訟法・法律の基礎の基礎から説明しなければならなそうです.というわけで,基礎の基礎から書いていたのですが—誤解を怖れず,途中を随分と端折ったにも関わらず—とてつもなく長くなったので,その辺は割愛.
最後,割愛した記述の末尾の言葉だけ残しておきます.


<なにやってるか知らんが,今やってる仕事を辞めて,もう一回大学に戻って,一般教養でもいいから法律を勉強し直せ.>
…尤も,引用元の記事内容を総合すると,どうも中高生の可能性すらあると思うので,その場合は以下の言葉に置き換える.
<頑張って大学行って法律勉強しようね.>


タイトルは「法と政治に無知なthessalonike2 − 間違った追及で恥を晒す」って感じ?*15

おまけ

本題である「民事訴訟(法)の基礎の基礎」を割愛した分,若干補足.

今回の訴訟について言えば、形式的には提訴した原告が損害賠償を請求したものですが、実質的には総理大臣の靖国参拝違憲性を問うものであり、小泉首相靖国参拝が合憲か違憲かを裁判所に判断させる訴訟であったことは言うまでもありません。違憲判断の獲得こそが本当の政治的目的です。

これは私も同様に考えます.(むしろこの記述が,ご自身の後の記述と矛盾しているコトに気づかれていないことが不思議)

訴えの形式的な目標である「精神的苦痛の認定と損害賠償」については原告は敗訴しましたが、実質的な狙いである憲法判断のところでは原告側が勝利しました。つまるところ事実上の勝訴判決の結果です。

阪高裁(二次,以下単に大阪高裁と記述)判決についてはその通りです.
同時に,公私の判断すらしなかった判決,原告側からすれば公私判断をしないよりも困る「私的参拝」と認定した判決もあることを指摘しておきます.

私的参拝とした判決

阪高裁判決の前日,9月29日,東京高裁は「私的参拝」を認定しました(この判決全文は裁判所のサイトで公開されていますが,大阪高裁判決との公平を図るため,ここでは引用・転載・リンクは避けます).
原告の実質的敗訴.thessalonike2氏の言葉を借りれば「実質的な狙いである憲法判断のところでも原告側が敗北した」判決です.
つまり,公私判断をしない判決であれば原告は司法のそのような態度や法の不備を批判できるのみでなく,「公的参拝(違憲)」との主張が否定されたわけでもありません.ところが,「私的」と認定されてしまうと,「公的参拝(=違憲)」としたのと全く同じ権威を持つ(別の)裁判所が「合憲」のお墨付きを与えたことになります—言うまでもなく,大阪高裁も東京高裁もその所在地で権能・権威に区別があるわけではありません.
「実質的かつ形式的にも原告敗訴」とする所以です.

公私判断をしなかった判決

阪高裁の1週間後,10月5日,高松高裁は公私判断をしない判決を出しました.(これは四国訴訟原告団のサイトでPDFで公開されてます,これも公平を期すため引用・転載・リンクは避けます)
9月末から10月はじめの約1週間で,私的,公的,公私判断なし,考え得る3種の裁判例が全て出そろったわけです.
うち,大阪高裁のみウェブ上で見られないのが残念ですが…ようはいろんな判決があり,各原告団は実質的には勝ったり負けたりです(形式的には全部負け).

靖国参拝について憲法判断で違憲判決を出された国側は、当然ながら上告して最高裁で合憲判決を勝ち取らなくてはいけないわけですが、それをせず、高裁判決を受け入れたことは、すなわち総理大臣の靖国参拝違憲であるとした高裁判決を裁判所の判断として最終的に認めたことになります。

なりません.
山口氏指摘のとおり.当然ながら上告して最高裁で合憲判決を勝ち取らなくてはいけないわけですが、それをせずではなくそれをできないわけです.繰り返しますが上告状を提出することは物理的には可能ですが,不適法(違法)であり,明白な違法行為*16を行政がすることは,事実上も不可能です.
合憲判決を勝ち取りたいという利益は,法律上の利益なく,これは「違憲判決を得たい」という利益が法律上の利益ではないのと同様です.政府の上告が不適法なのも,違憲確認の訴えが不適法なのと同じ.だからこそ,原告団が損害賠償という金銭的利益を求める訴えの形式を採らざるを得なかったのは,thessalonike2氏もお書きになられていることです.
「訴えの利益」について理解はしているようなので,それを「控訴の利益」「上告の利益」に置き換えてみれば,thessalonike2氏の言うような上告が,不適法・不可能なのが分かると思います.
それとも,上告(や控訴)では,または憲法に限っては特別に「訴えの利益」の内容が拡張される(べき)と—確信犯的に—お考えなんでしょうか…それは1つの考え方ではあります.しかし現実の法運用・法解釈とは異なります.
後者「憲法に限って」について言えば,憲法に関する訴訟では,逆に特別に消極的な扱いをするというのが,恵庭事件判決*17に代表される「司法消極主義」の一態様で,司法の趨勢であり,実際,高松高裁判決にも同趣旨の記載あります.
加えて,極めて有名な警察予備隊訴訟最高裁は,憲法の「抽象審査権」を自ら放棄しています*18


なお,高松高裁では実際に「違憲確認」の訴えが「却下(≠棄却)」されています.thessalonike2の理屈だと「総理の靖国(公式)参拝を違憲と考える国民は,主権者として当然,提訴して裁判所で違憲判決を勝ち取らなくてはいけない」わけですが「それをせず金銭的賠償を求める金の亡者ぶりを披露した」わけで「国民(原告団)が憲法よりも金を重視するに証左に他ならない」ということになってしまいそうです.違憲確認の訴えが不可能・不適法と分かっている私としては,これでは流石に,一国民として—靖国参拝憲法違反でないと考える,つまり原告団の対極にいる一国民としても—不本意に過ぎるので,以上,指摘しておきます.

そうそう,私自身の靖国参拝に関する考え(憲法問題,判決・訴訟の評価,他)は20日付けの記事(の「傍論」)に記してある.thessalonike2氏との件の記事と同じ日付なのは全くの偶然.

*1:ネットの趨勢だとそんな人の揚げ足を取るようなブログが人気を得ていたりするので,そうでもないのかもしれないが…

*2:URL の exblog.jp を見ての第一感は「何処のサービス?」だったが,Excite の Ex なのね.普段,ブログを全くと言っていいほど見ないので,全然知らなかった.

*3:必ずしも利便性の高い自宅から更新しているとは限らず,学校や会社,ネットカフェ,友人宅で更新している可能性もあるが,少なくてもネット環境があること,ブログの長文さからすると携帯電話ではないネット環境があることは確実と思われる.

*4:前原氏の出身大学である京都大学(法学部)を指しているのか,一般論として京都にある大学全てを指しているのかは分からない.いずれにしろ論外.

*5:過去の記事を読めば,私の支持する政治家,支持政党の明記こそしていないものの,民主党・前原氏を支持しているわけではない点は推し量っていただけると思います.長文ばかりですが…

*6:尚,党首討論が行われるのは,衆参合同で開催される「国家基本政策委員会(の合同審査会)」

*7:ストリーミングでの視聴ではなく,DLして保存したい場合の方法については別項

*8:「50分頃」というのは,47分30秒あたりから続く前原氏の長い発言(質問)の途中(かなりの末尾)

*9:近日,衆議院会議録議事情報参議院会議録情報等にも議事録が掲載されるはず

*10:委員長の発言とかぶっているので正確には聞き取れず.「憲法判決」と言っているかもしれない

*11:先日,この動画を見た時に,細かく時間記録したわけではなく,これは今,この項を書くために計測

*12:ちなみに,今,これを書きながら聞いている,本月5日の参議院予算委員会でも,時間記録ミスで議事(速記・時間計測)が停止するトラブルが起こってたりもします.

*13:邪推すれば,テレビ中継,委員会終了時間が迫っていることを知っていた小泉氏が—ついでに言うと質問内容は通告されているはずなので,靖国についての質問がこのタイミングで来ることも分かっていたはずの小泉氏が—,敢えて「引き延ばし」をした可能性もあります.しかし,これについては正に小泉氏の「内心の問題」であり,小泉氏依りの考え方をすれば「靖国は重要な問題だからこそ時間をかけて説明した」との推測も同様に可能です.

*14:同じ大阪高裁は,大阪一次訴訟の控訴審(上告中)では別の結論を取っているのは過去にも触れた.各訴訟の結果については東京訴訟原告団のサイトが一覧を載せている.但し,リスト中の「憲法判断」は高松高裁判決のように政教分離とは別の視点でなされた「憲法判断」は含まれない.高松高裁判決については後述

*15:人の呼称には,本名・芸名・ハンドルネームを問わず敬称を付加するように心がけているが,ここではthessalonike2氏に合わせて敬称を省略した

*16:念の為記しておくと,「そもそも靖国参拝が<明白な>違法行為」だとお考えの方もいるかもしれませんが,これは前述のように裁判所によって判断の分かれる所であり,私が使う「明白」とは異なります.ここで,上告を「<明白>な違法行為」とするのは,このような<上訴の利益>のない上告を不適法とする法条,およびそれを明言した判例があるからです.

*17:リンク先の閲覧には無料の会員登録が必要.裁判所のサイトでは掲載されていない.自衛隊の電話線を切った行為が自衛隊法違反に当たるとして起訴された被告(弁護団)は,自衛隊(法)の憲法9条違反を主張したが,電話線切断がそもそも自衛隊法違反に当らず,憲法判断は不要(すべきでない)とした.なお「恵庭事件」は同訴訟の通称だが,刑事事件「恵庭OL殺人事件」も単に「恵庭事件」と称されることがある(ウェブ上で情報を探す場合,今日現在では後者の刑事事件に関するサイトが圧倒的に多いので注意).

*18:要するにわが現行の制度の下においては、特定の者の具体的な法律関係につき紛争の存する場合においてのみ裁判所にその判断を求めることができるのであり、裁判所がかような具体的事件を離れて抽象的に法律命令等の合憲牲を判断する権限を有するとの見解には、憲法上及び法令上何等の根拠も存しない。との記述が根拠ですが,1つだけ先回りして反論.「靖国参拝(とそれによる損害賠償)」という立派な紛争があるじゃないかという反論が考えられますが,その(形式的)紛争について小泉氏は「勝利」しているわけです.憲法問題はthessalonike2氏も言うように単なる実質上の問題ですから,具体的事件を離れて抽象的に法律命令等の合憲牲を判断する権限が必要になります.なお靖国参拝という「行為」は引用文中に含むと解せます.