メモ

ちゃんと書いてたら長くなって推敲しきれないので,とりあえずメモ

国会は何でも屋ではないし,そうあるべきでもない

国会のお仕事は司法捜査ではないわけで,行政の監視者として行政による被害者救済の妥当性を確認・監督する限度,および唯一の立法府(および国権の最高機関)として今後の予防に必要な限度で,国政調査権憲法62条〕を行うことができ,また行うべき責務があるのではないだろうか*1
以上の考え方を採っても,いわゆる「政界ルート」に関する「調査」を全て否定するものではない*2が,そもそもそれらは「耐震強度偽装」問題ではなく政治倫理*3の問題である(別にいわゆる「政界ルート」を肯定しているわけではなく,仮にあるとしても別問題という話)。
耐震強度偽装について行政(ここでは主に準司法機関でもある検察)や司法がシカトを決め込んでいるならともかく,現状で国会が行うべき「調査」が行われているようには見えない。


後年の為のメモ。耐震強度偽装問題に関する国会参考人招致・証人喚問について。

*1:不勉強なので断定は避けたが,おおむね通説に準じているはず。私の本文に於ける表現にやや問題はあるが,国政調査権は,国権の最高機関〔憲法41条〕として独立の権能を付与された(憲法制定権者=国民が「付与した」)ものではなく,立法府(国会)の権能を実効的に行使する為の補助的な権能である,というのが通説(cf.「浦和事件」)。なお一連の報道で見られる「国民の知る権利云々…」に対応する学説で,国権の最高機関,国民主権,知る権利などを根拠に(国民への)「情報提供」の為の国政調査を肯定する見解もあることはある。通説から見れば,それ(情報提供)は国政調査の効果,結果的機能(後天的機能)に過ぎず,法的機能(言い換えれば当然に求められる機能)ではないとされ,個人的にも妥当だと思う。但し,現行憲法に基づく解釈であり,国民への情報提供すら国会の権能として規定すべきと思うのであれば憲法改正によって行うことはできるだろう(断定を避けるのは,憲法 ―実質的意味での憲法≠形式的意味での憲法― には改正限界があるとするのが通説 ―私見でも賛成― であり,例えば「国権の最高機関としてあらゆることをできるように規定すべき」とでもする場合には三権分立すら怪しくなり改正限界に抵触するように ―ちなみに「浦和事件」では裁判所の量刑を不当とする国会決議に対して裁判所(最高裁)および学会から強い批判の声が上がった(らしい,側聞するのみ)― ,情報提供を国会の本来の権能とする考え方は,場合によると改正限界に抵触するとされる余地があるから)。

*2:例えばロッキード事件リクルート事件などのように

*3:現在,衆議院には政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会,参議院には政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会,政治倫理審査会が置かれている