日曜討論

日曜討論NHK)くらいは通常国会中心で来るかなと思ったら,報道2001だけでなく日曜討論ライブドア問題。たぶんサンプロもだろう…
メンツが各党国対委員長と与謝野金融相だけに,ライブドアにかこつけた政府批判のお粗末さが露見。
報道2001の方では加藤紘一氏がそれを担当していたが,言うだけ言っといて最後の最後で不信任の1票も投じられない口だけ議員が何を言っても,ついでに元々小泉政権を全面批判している人が何かにかこつけて更に批判を重ねても,説得力が無い(その前提には当然,内容がお粗末ということもある)。


野党国体委員長のみならず与謝野金融相まで,「ライブドアに投資していた一般投資家」が云々と言ってるが,「投機家」の間違いでは?
株価(時価総額)が実体上の企業価値を超えた時点,もしくは将来期待できる企業価値を超えた時点で「投資」の回収に回るのが一般的な投資行動,投資家心理なのではないだろうか。
ライブドアの事業に価値があり,また株価に見合った以上の資産を持ってれば,4日連続のストップ安(売買不成立)なんてことにはならず,買い手がつくはず。株価が「割安」ならそれこそ村上ファンドでも出張ってくるはず。
買い手がつかないのは先週の半額まで下がった現在の株価ですら本来の企業価値に見合っていないからにすぎない ―少なくても市場判断(「賢い投資家」または「一般投資家」)にとっては。
それに気づけなかった「投資家」は保護に値しない「愚かな投資家」にすぎないし,本来の企業価値を超えていると知りつつ更なる株価上昇を見込んでいた「投機家」もまた保護には値しない(自己責任)。
冒頭では「愚かな投資家」ではなく「投機家」と書いたが,現在ライブドア株がストップ安を連発しているのは,株主としての正当な権利行使(経営指揮)によってももはや暴落前の株価に見合う企業には出来ないと思っている株主が大半を占め,投機によって釣り上げられていた株価が正当な価格に是正された結果として「投機家」自身が損をしているに過ぎない —つまり「愚か」ではあれ,愚かな判断としての投資意欲すら持つ者が少ない— ということだろう。


もっとも,「投機家」によって釣り上げられていた株価の裏に,ライブドア(の筆頭株主である堀江氏も含む)自身による株価釣り上げがあったからこそ司法のメスが入ったのであり,敢えて言うなら(それを盲信した)「愚かな投機家」と言い換えてもいいかもしれない。
その意味では,直接の捜査容疑と言われる偽計取引や風説流布よりも,粉飾決算の方が問題。前二者は「グレーゾーン」とまでは言わないが,その基準は確かに難しい(判例・実務の積み重ね,法令解釈により明らかに「アウト」なゾーンはある)。
しかしいずれにしろ,それら(偽計取引,風説流布,粉飾決算)は一般投資家,ひいては株式市場の信頼を損なう行為であり,「投資家保護」の為にライブドアの犯罪行為を厳しく取り締まらなければならないが,単に取り締まればすむこと。今回実際に損をした「投機家(投資家)」を直接に保護する必要は何処にもない。株主が経営者に対して私法で責任を追及すればよいのであって,政府・与党が ―法的には勿論,道義的・政治的にも― 責任を負う必要はなく,強いて言えば証取法罰則の厳罰化や同法改正によって,または適切な捜査指揮*1によって(将来の)「一般投資家」の保護をできるにすぎない。

それ以上でもそれ以下でもないと思うんだが…


と書いたら,サンプロは比較的まとも。くだらん煽り ―堀江氏に電話してみたり…― もあるが,正確にはサンプロのコメンテーターで政治家でない人たち,はけっこうまとも。政治家(野党)は例によって小泉批判にすりかえている…

*1:もっとも証券監視委は公取委ほどではないにしろ独立的組織なわけで,また司法権も当然に行政・立法とは独立している。例えば政治家の汚職事件について「指導」が行われる場合の不公正さを考えれば,警察権への介入についても一定の制約は否定できない